先月から酷暑が続いておりますが、こんな時期に相応しい公案があります。
『碧巌録』第四十三則
「寒時寒殺闍黎 熱時熱殺闍黎」
挙す。僧、洞山に問う、「寒暑到来す、如何が回避せん」。山云く、「何ぞ無寒暑の処に向かって去らざる」。僧云く、「如何なるか是れ無寒暑の処」。山云く、「寒時は闍黎を寒殺し、熱時は闍黎を熱殺す」。
暑さ寒さに成り切り、人境一致の境界になっていれば、もはや暑いという「人」が居なくなる。それが暑さから逃れる道なのだというのです。
日本の禅では、自己意識を対象化して見つめる「二人連れ」からの解放を目指し、自己を忘れる修行に専念します。禅で水平方向の悟りが強調されているのはその為です。(勿論、垂直方向の道も本来の「禪」にはあります。)
暑さから逃げてクーラーの効いた部屋に引きこもりたくなるものですが、思い切って暑さの中に飛び込んで作務でもしますと、良い汗もかけて案外元気でいられるものです。中国武術の教えでは一年の中で最も暑い時期、寒い時期にはあえて屋外で練習をさせます。そうやって身体のポテンシャルを引き出すのでしょう。
しかしながら、近年の暑さは極端ですから、体力に合わせた判断も必要ですね。悪戯に限度を超える無理をし続けるのは法ではありません。酷使するのでも、過保護にするのでもなく、身体を「養っていく」という感覚が、現代人には必要でしょうか。
皆様、この夏も楽しく健やかにお過ごし下さい。
合掌 無為
