家にとどまるな、森へ逃れるな。
ただ、今ここで、己が心を見よ。
人が完全なる悟りに至るとき、
サンサーラはどこにあり、涅槃はどこにあるのか。
― サラハ(ラーフラバトラ)のドーハーより
己事究明を志す者は、家に安住してはならない。かといって、森や洞窟に籠ることによってのみ修行が成り立つわけでもない。
観ずべきを観ようとしないならば、それは修行を口実にした逃避にすぎない。
真の道場は、常に自らが立っているこの場であり、参究すべきは己が心の本性である。
その本性が顕れ出るとき、あらゆる場所が直ちに真実の場となる。主客という二元対立を超越した、原初より不生なる法性の境地において、はたして迷うべきサンサーラや、求むべきニルヴァーナは存在するのだろうか。
合掌 無為
※ サラハ(ラーフラバトラ)・・・チベット仏教カギュ派などに伝わるマハームドラーの法脈の祖師であり、禅の法脈の西天十六祖 羅睺羅多尊者。