第一 尋牛

第一 尋牛

[序]

從来失せず、何ぞ追尋をもちいん。

背覚に因って、以て疎と成り、向塵にあって遂に失す。

家山漸く遠く、岐路俄に差う。

得失熾然として、是非の如くに起こる。

【現代語訳】

本来この〈わたし〉こそが牛であり、一度としてそれを失ってはいないはずなのに、どうしてそれを外に追い求めようというのか。

本来の在り方に背く分別や感情によって牛から遠ざかり、煩悩に振り回されて、ついに見失ってしまうのだ。

探せば探すほどに安らかな故郷から遠く離れ、また分かれ道にあう度に離れる方向へ行ってしまう。

何かを得た失ったという執着の炎は燃えさかり、自分で長年築き上げた是非の基準で自分も他人も裁き傷つけるのだ。

[頌]

茫々として草をはらい去って追尋す。

水ひろく山遙かにして路更に深し。

力尽き神疲れてもとむるに処無し。

ただ聞く楓樹に晩蝉の吟ずることを。

【現代語訳】

茫々と生い茂る妄念の草を払いながら、ひたすら牛を探し求める。

目の前には大河が拡がり山が遙かにそびえ立ち、この旅路は果てしない。

精も根も尽き果てて、どこへ行けば良いのかも検討がつかない。

ただ楓の樹にひぐらしの声が響いている。

尋ねゆく深山の牛は見えずして ただ空蝉の声のみぞする

尋ねいる牛これ見えね夏山の 梢に蝉の声ばかりして

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《禅〜意識の真源に帰る旅〜》

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